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開放経済におけるカルドア型景気循環モデルの同期とカオス化

新田 宣広

研究背景

 景気循環とは,景気に関連する経済指標が,図1のように周期的な上昇と下降をおこなう現象である.また1862年のジュグラーの波[1]をはじめに,1923年にキチンの波[2],1925年にコンドラチェフの波[3],1930年にクズネッツの波[4]と,後に景気循環と呼ばれる周期的な経済指標の変動が次々に発見され,景気循環の存在はより確かなものになった.さらに現在の日本経済においても,景気循環は観測されている[5].

図1: 景気循環

 また18世紀以来マクロ経済学において,変数の周期的変動により景気循環を表現する経済モデルである,景気循環モデルが考案されている[6,7].景気循環モデルにはたとえば,GDPと国富を状態変数にとるカルドア型景気循環モデル[8-10],GDPと国富と国債利率を状態変数にとるIS-LMモデル,GDPを状態変数にとるヒックスモデル[11],数理生物学で有名なロトカ・ヴォルテラモデル[12,13]での捕食者-被捕食者の関係を,労働者-資本家の関係に置き換えたグッドウィンモデル[14]が挙げられる.グッドウィンモデルは,雇用率と賃金配当率を状態変数にとる.


モデル名対象とする経済指標
カルドア型景気循環モデルGDP,国富
IS-LMモデルGDP,国富,国債利率
ヒックスモデルGDP
グッドウィンモデル雇用率,賃金配当率
                 表:景気循環モデル一覧

 特に本研究はカルドア型景気循環モデルと関連が深く,カルドア型景気循環モデルにおける景気循環を図2に示す.カルドア型景気循環モデルは,ある国のGDP,国富平面において安定周期軌道を成すことで景気循環を表し,その景気循環は成長期,拡大期,不況期,不況期の四つの経済状態を取る.

図2: カルドア型景気循環モデルの景気循環

 しかし表中の景気循環モデルには問題点がある.それはいずれの景気循環モデルも,

・仮定1:投資効果に時間遅れがない

・仮定2:閉鎖経済(貿易,資本移動などによる,他国との経済的繋がりのない国の経済)

を仮定しており,グローバル化が進んでいる現代経済の状況に合わない点である.それに対して,仮定1,2を緩和した景気循環モデルを解析する研究が,現在盛んにおこなわれている.そこで景気循環モデルに関する先行研究を次に示す.その際に研究内容によって先行研究を,

・仮定1を緩和し,経済効果の時間遅れを考慮した景気循環モデルの解析

・仮定2を緩和し,開放経済(貿易,資本移動などによる,他国との経済的繋がりのある国の経済)における景気循環モデルの解析

・上記2つに該当しない,その他の研究

の3つに分類する.その他の研究には,仮定1,2の緩和とは関連がないものの,景気循環モデルや市場モデルに関する興味深い研究を示す.

仮定1を緩和:経済効果の時間遅れを考慮した景気循環モデルの解析

 経済効果の時間遅れを考慮すると,景気循環モデルの解軌跡は変化し,時間遅れの度合いによっては周期軌道を持たない(=景気循環が起こらない)場合がある.よって,時間遅れのある景気循環モデルが周期軌道を持つための条件導出が盛んにおこなわれている.
 まず景気循環モデルが連続時間ダイナミクスで表現される研究について示す.文献[15,16]では,ホップ分岐定理を用いて時間遅れのあるカルドア型景気循環モデルが周期軌道を持つ十分条件を求め,また周期軌道の安定性を解析している.文献[17,18]では,ホップ分岐定理を用いてIS-LMモデルが周期軌道を持つ十分条件を求めている.文献[19]では,ホップ分岐定理ではなく中心多様体定理を用いて,時間遅れのあるカルドア型景気循環モデルが周期軌道を持つ十分条件を求めている.文献[20,21]では,時間遅れのある政府支出の影響を考えたカルドア型景気循環モデルを解析し,時間遅れの大きさによるモデルの性質の変化を解析している.文献[22,23]では,時間遅れのある投資効果の影響を考えたカルドア・カレツキモデルの平衡点の分岐を詳細に調べている.
 次に景気循環モデルが離散時間ダイナミクスで表現されている研究について示す.文献[24]では,カルドア型景気循環モデルに時間遅れの影響を加えたモデルが周期軌道を持つ十分条件を,ネイマルク・サッカー分岐定理を用いて求めている.文献[25,26]では,ヒステリシス(状態の過去経歴に依存してダイナミクスが変化する性質)を持つカルドア型景気循環モデルが,カオス解を持つことを示している.

仮定2を緩和:開放経済における景気循環モデルを解析

 開放経済における景気循環モデルには,強制振動子型と結合振動子型の2つがあり,その違いは外国からの経済的作用の加わり方にある.
 強制振動子型のモデルは,外国からの経済的作用が振幅,周波数固定の定常波でモデル化される.振幅,周波数が変化しないことから,この定常波は強制振動項と呼ばれる.強制振動子型では景気循環が崩れてカオス解が出ることが多い.文献[27]では,IS-LM景気循環モデルに強制振動項を加えたモデルがカオス解を持つことを数値例で示し,さらにカオス解を持つ状態のモデルに対し周期軌道の安定化制御を数値例でおこなっている.
 対して結合振動子型のモデルは,外国からの経済的作用が外国の経済指標に依存するようにモデル化される.よって,結合振動子型の開放経済モデルは,景気循環モデルを結合したモデルとして定義される.文献[28]では,貿易による影響を考慮したケインズ的なマクロ経済モデルが,カオス解を持つことを数値例で示している.文献[29]では,設備投資需要が自国のGDP だけでなく他国のGDP にも依存するカルドア型景気循環モデルが,カオス解を持つことを数値例で示している.文献[30]では,利率による影響を考慮したグッドウィンモデル同士を結合したモデルが,カオス解を持つことを数値例で示している.

その他の研究

 連続時間ダイナミクスで表されていた景気循環モデルを離散時間ダイナミクスへ変換すると,それだけで連続時間ダイナミクスでは見られない興味深い現象が現れる.文献[31,32]では,離散化したカルドア型景気循環モデルのモデルパラメータを変化したときに,ホモクリニック分岐が起こり,相平面上に二つの安定平衡点と一つの安定周期軌道が同時に発生して,多重安定な状態になることを示している.さらに[33,34]では同じく多重安定な状態から,カオス解が生じる状態になることを数値例で示している.文献[35]では,離散化したカルドア型景気循環モデルがカオス解を持つことを数値例で示し,さらにそのモデルに確率項を加えたモデルにおいても,カオス解が生じることを数値例で示している.文献[36]では,離散化したカルドア型景気循環モデルのうち,ダイナミクスが三角写像で表されたものを解析しており,あるモデルパラメータではモデルの位相的エントロピーが高まり,カオス解を持つことを示している.文献[37]では,離散化したヒックスモデルが,周期軌道やカオス解を持つモデルパラメータが存在することを数値例で示している.
 景気循環モデルに確率項を加え,経済的外乱の影響を考えたモデルの研究もおこなわれている.文献[38]では,時間遅れのあるカルドア型景気循環モデルに確率項を加えたモデルが,周期軌道を持たず,平衡点が漸近安定となる十分条件を求めている.文献[39]では,確率項を加えたカルドア型景気循環モデルの平衡点の確率的安定性を,First Passage Time(ある初期値から微分方程式の解を時間発展させたときに,初期値+誤差の範囲へ解が外部から入るまでにかかる時間)という指標から考察している.
 さまざまな経済影響を与えた,景気循環モデルや市場モデルに関する研究もおこなわれている.文献[40]では,経済的成長を考慮した景気循環モデルを解析している.文献[41]では,カルドア型景気循環モデルに政府支出と貨幣による影響を新たに導入し,政府支出がカルドア型景気循環モデルに及ぼす影響を解析している.文献[42]では,為替レートと利率の影響を考えたカルドア型景気循環モデルで,為替レートが一定の場合(固定相場制)と,変動する場合(変動相場制)の二つのケースにおけるモデルを解析している.文献[43,44]では,厳密な線形化によるフィードバック制御手法によりカルドア型景気循環モデルの不安定平衡点を安定化している.文献[45,46]では,売り手寡占市場における経済モデルの振る舞いがカオス的になることを数値例で示し,文献[47]ではその結果を証明している.文献[48]では,フェイヒティンガーの市場モデルがカオス解を持つ状態に対して,周期軌道の安定化制御を,OGY法と呼ばれるカオス制御法を用いて数値的におこなっている.
 景気循環モデルを近似したモデルの解析もおこなわれている.文献[49]では,本来非線形ダイナミクスであるグッドウィンモデルを,区分的線形システムによるモデルへ近似し,近似したモデルが安定な周期軌道を持つ十分条件を求めている.

研究目的

 先述の研究背景のもとで,本研究では従来のカルドア型景気循環モデル[9]に対し,[6,7]での議論を参考に貿易の影響を加えることで仮定2を緩和した,開放経済におけるカルドア型景気循環モデル(以降,カルドア型開放経済モデル)を定義する.本研究で提案するカルドア型開放経済モデルは,モデルパラメータに依存して,すべての国の景気循環の周期が一致する同期現象が起きる場合や,解軌跡が平衡点や準周期軌道やカオス解へ収束する場合に相当する経済指標の変動を生成しうる.本研究におけるカオス解とは,有界性,非周期性,初期値鋭敏性[50]の3つの性質を持つ解を意味する.ただし初期値鋭敏性とは,微分方程式の初期値が異なる2つの解を考えたとき,その初期値誤差がどんなに小さくても,有限時刻内で2つの解がある一定距離以上離れる性質である.またカルドア型開放経済モデルがカオス解を持つことは,長期の景気停滞現象など,景気循環論では説明できない経済指標の変動を生成しうることを意味する.
 そこで本研究では,提案するカルドア型開放経済モデルに対して次の3点を明らかにしていく.

・景気循環の同期現象の解析

・経済指標のカオス化の解析

・カオス化した経済指標を周期軌道へ収束させる制御法の提案

研究結果

景気循環の同期現象の解析

 結果説明のため,図3で示される,周期の異なる安定周期軌道(景気循環)を持つ3つのカルドア型景気循環モデルを結合したカルドア型開放経済モデルの数値例を見る.

図3: 3国のカルドアモデルの景気循環.実線は安定周期軌道,破線は安定周期軌道へ収束するまでの過渡状態を表す

周期同期現象
 各国間の貿易額のGDP比率がある閾値より大きいとき,カルドア型開放経済モデルの各国の安定周期軌道(景気循環)の周期が,同じ値になる結果が数値計算より得られた.この現象を本研究では周期同期と定義する.実際に,図3のカルドア型景気循環モデルを結合した開放経済モデルに対し,各国間の貿易額のGDP比率が周期同期の閾値より大きい場合の数値例を図4に示す.
 カルドア型開放経済モデルに見られる周期同期現象は,文献[51]に見られる同相型相互同期と類似の現象と考えられる.そして現実の経済においても,ある2国間の貿易,金融資本移動額の絶対額(上記の比例定数値に相当)が大きいほど,その2国の景気循環は周期同期状態に近づく傾向があることが[52-54]で報告されている.

図4: 周期同期状態

GDP同期現象
 各国間の貿易額のGDP比率を周期同期の閾値より大きくした場合,GDP比率がある閾値より大きいとき,カルドア型開放経済モデルにおいて周期同期が起き,かつ各国のGDPが比例関係に収束する結果が数値計算より得られた.この現象を本研究ではGDP同期と定義する.実際に,図3のカルドア型景気循環モデルを結合した開放経済モデルに対し,各国間の貿易額のGDP比率がGDP同期の閾値より大きい場合の数値例を図5に示す.
 さらに,各国間の貿易額のGDP比率が無限大のもとでGDP同期が起きることを理論的に証明した.また例外として,結合するカルドアモデルのモデルパラメータがすべての国で同じで,かつ各国間の貿易額のGDP比率が全て0より大きいならば,カルドア型開放経済モデルはGDP同期を起こすことが,文献[55]により理論的に証明されている.

図5: GDP同期状態

経済指標のカオス化

 メルニコフの方法[56,57]による解析の結果,国2から国1への貿易輸出のない,2国間のカルドア型開放経済モデルにおいて,国1のGDP-GDP変化率平面上でカオス解を成す解の初期値集合が存在するための十分条件を求めた.実際に,カオス解の初期値集合内から時間発展させた解軌跡の数値例を図6に示す.

図6: 国1のGDP-GDP変化率平面におけるカオス解

 国1のGDP-GDP変化率平面におけるカオス解をGDP-国富平面へ座標変換すると,GDPと国富がほぼ一次関数の関係になることを理論的に示した.これはGDPの増減と国富の増減のタイミングがほぼ一致し,GDPと国富の変化にタイムラグがない経済状況を意味している.実際に,図6のカオス解をGDP-国富平面へ座標変換した解軌跡を図7に示す.

図7: 図6のカオス解をGDP-国富平面へ座標変換した解軌跡

カオス化した経済指標を周期軌道へ収束させる制御法の提案

 政府支出を入力とするカルドア型開放経済モデルに対して,カオス解の初期値集合内から時間発展した解のGDPが,周期軌道へ収束するような入力の提案を,遅延フィードバック制御法[58-60]を用いておこなった.ただし政府支出を入力とみなす設定は,文献[6]を参考にした.遅延フィードバック制御法では,時刻T前の状態と現時刻の状態の差分を入力とする.その結果,システムの現時刻の状態を時刻T前の状態へ近づけ,システムの持つ周期Tの分数倍の周期を持つ周期軌道を安定化することが期待できる.
 本研究では,時刻T前と現時刻のGDPの差分を,入力としてGDP変化率に加える.このとき,適切な時刻遅延Tと入力ゲインのもとで,GDPが周期軌道へ収束する結果が数値計算で得られる場合がある.しかし制御目標を達成する時刻遅延Tと入力ゲインは,試行錯誤的に得ている状況である.実際に遅延フィードバック制御法により,図7のGDPを周期軌道へ収束させた数値例を図8に示す.

図8: 遅延フィードバック制御法により,図7のGDPを周期軌道へ収束させた数値例

結論

まとめ
 本研究では,貿易による影響を加えることで,カルドア型景気循環モデルをカルドア型開放経済モデルへ拡張し,同モデルで起きる景気循環の同期現象や,経済指標のカオス化の解析をおこない,またカオス化した経済指標を周期軌道へ収束させる制御法の提案をおこなった.景気循環の同期現象に関する解析結果としては,貿易額のGDP比率をある閾値より大きくしたとき,周期同期が起きる結果が数値計算より得られ,また貿易額のGDP比率を極限的に大きくしたとき,GDP同期現象が起きることを理論的に証明した.経済指標のカオス化に関する解析結果としては,国2から国1への貿易輸出のない,2国間のカルドア型開放経済モデルにおいて,国1のGDP-GDP変化率平面上でカオス解を成す解の初期値集合が存在するための十分条件を求めた.またカオス化した経済指標を周期軌道へ収束させる制御法の提案を,政府支出を入力とみなし,さらに入力の設計法に遅延フィードバック制御法を導入しておこなった.
今後の課題
 まずモデルに関する課題を挙げる.本研究では貿易作用のみによって仮定2を緩和した景気循環モデルを解析したが,貿易だけでなく金融的取引による資本移動の影響を考慮したモデルや,また投資効果の時間遅れも考慮し,仮定1も緩和したモデルを解析する必要がある.次に解析に関する課題を挙げる.周期同期現象が起きる条件を数値計算より得たが,この条件を理論的に解析する必要がある.またカオス化した経済指標の解析では,カルドア型開放経済モデルがカオス解の初期値集合を持つ十分条件を求めたが,加えてカオス解軌道の安定性の解析をする必要がある.さらにカオス化した経済指標を周期軌道へ収束させるための,遅延フィードバック入力の入力ゲインと時刻遅延を解析的に求める必要がある.

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2012.3.31 update